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キャストは自己実現のための最高のステージ
オールラウンドで活躍する会計士を目指して

2011.01.21

秦小鎖 中国会計士インタビュー

キャストコンサルティング(上海)有限公司パートナー董事で、中国会計士の秦小鎖は、高校時代から会計士になるのが夢だった。 1998年、上海財経大学経済学部財政学科を卒業後、ほとんどのクラスメートが政府機関への就職を選択する中、会計士へのこだわりを捨てず、上海上会会計事務所に入所。 仕事と会計士試験の勉強の”二束のわらじ”の生活を5年間続け、2003年に中国会計士の資格を取得した。 勤続10年を目前に07年、海外業務を経験するため、グローバルで展開する香港梁学濂会計事務所の上海分所に移籍。 その1年後、「会計だけでなく、法務や税務まで含めたあらゆる分野に精通した会計士になりたい」という夢を叶えるため、キャストコンサルティング(上海)有限公司に入社した。 「キャストは自己実現のための最高のステージ」と語る秦のこれまでの歩みと今後の夢に迫った。

大学入学前から会計士を志し上海財経大学に入学

秦小鎖 中国会計士インタビュー

秦小鎖は、江蘇省の金壇市で生まれ育った。江南地方の典型的な水田が広がる閑静な町で、中国では数学者の華羅庚の出身地として知られている。「父は江蘇省の公務員でした。幼少の頃の夢は、公務員か学校の先生になることでした。子どもながらに父を通じて、公務員は安定したいい仕事と感じていました。父は公務員、母も国有企業の社員だったため、他の家庭に比べ、経済的に比較的恵まれていました」と秦は振り返る。幼少の頃から父親の薫陶を受けた秦の成績は、とても良かった。特に数学や化学など理系科目が得意だったという。

秦は94年、「高考」(大学入試センター試験)を受けた。

「当時、会計学部が非常に人気でした。背景には、93年に中国経済がインフレ率25%という異常な過熱を経験したこと、また同年、会計ルールの大幅な改革が行われたことがあります。こうした中、『会計は前途有望な仕事』とみんなが考えたのです」(秦)

秦も例外ではなく、上海財経大学に入学し、会計を勉強したいと考えていた。高考の結果、財経大学には受かったが、同大学の会計学部に入学するには惜しくも点数が届かなかった。そこで秦は、同大学財経済学部に入学した。

秦は大学で、財経学部の3つの専門、「税務」「財経」「資産評価」のうち、資産評価を専攻した。

「94年の時点で、資産評価を専攻する学生は少数派でした。企業といっても当時中国では私営企業が少なく、国有企業や郷鎮企業がほとんど、そうした企業の資産評価を中心に一部海外企業についても勉強しました」

大学の寮では、同級生7人で同居した。当時の仲間とはいまも頻繁に連絡を取り合っている。

「7人のうち、6人がいまも上海に留まっています。関係は非常にいいです。いまでも頻繁に会い、夕食を共にする仲です。会計士になったのは私だけで、ほとんどの友人が政府機関の財経局や税務局などで働いています。中には昇進し、かなりのポストまで上り詰めている友人もいます」

政府機関に仲のいい友達がいることは、会計士の秦の仕事にプラスになっている。仕事上で何か問題が発生した際、当局で働く友人に気軽に連絡し、相談しているという。

会計士事務所に勤務しながら03年に中国会計士に合格

秦小鎖 中国会計士インタビュー

秦は98年、大学を卒業すると、上海上会会計士事務所に就職した。

「クラスメートのほとんどが政府機関に就職する中、私は会計事務所への就職を目指しました。大学で勉強することができなかった会計に未練があり、会計士になる夢を諦められなかったのです。財経学部の人間が会計事務所に入所するケースは稀で、難しかったのですが、大学の先生のつてで幸運にも、当時上海で有名だった上海上会会計士事務所に就職することができました」

どうして秦は、会計士の仕事にそこまで惹かれたのだろうか?

「学生時代に、中国証監会首席会計士の張衛国のある演説を読んだことが大きいかもしれません。その演説で張先生は、『米国のオスカー授賞式の当日までに授賞の結果を知っているのは誰か? 何十年にわたりオスカーの集計を行っているプライス・ウォーターハウス・クーパース会計事務所のパートナー会計士2人だけだ。会計士は弁護士と共に世間の人々から信頼され、尊敬される仕事なのだ』というくだりがあり、とても感銘を受け、チャンスがあれば会計士の仕事がしたいと思うようになったのです」

秦は、上海上会会計士事務所に入所後、仕事をしながら会計の勉強を始めた。

「会計事務所に入所する人間は通常、会計の仕事経験があるか大学で会計を勉強しています。私は経験もなく、勉強もしていなかったため、仕事をしながら実地で勉強していきました」

そもそもスタート地点が3歩も4歩も遅れており、大きなハンディがある自分は、ほかの同僚と同じやり方をしていてはダメだという思いから、秦は人一倍努力し、仕事に打ち込んだ。

「仕事では会計士の助手をしました。彼らとの仕事を通じ、いろいろ実践で学ぶことができました。こうした”修行時代”は3年くらい続きました。その後、徐々に小さな規模の顧客を担当させてもらえるようになりました」

秦はOJTで学ぶとともに、週末は会計の専門学校に通った。

2003年、秦は会計士試験に合格し、念願の中国会計士の資格を取得する。そして、長年交際してきたガールフレンドと結婚する。

「試験合格と結婚…2003年は私の人生の大きな転換期になりました。会計士になったことで、自分の将来にだいぶ自信を持つことができるようになりました。試験に合格できたのは、妻の支えも大きかったです。試験を通じ、精神力を鍛錬できました。努力すれば報われるということを知った貴重な経験でもあります」

グローバル展開する会計事務所に転職し国際業務に従事

秦小鎖 中国会計士インタビュー

会計士になった秦は、上場を目指す企業の資産評価などの仕事で実績を積んでいく。2000年前半の中国では、上場企業のほとんどが国有企業だった。秦は国有の貿易会社やIT会社、銀行などを担当した。

「初めは非常にやりがいのあった仕事ですが、次第に面白くなくなってきました。その大きな原因に保守的な仕事の進め方がありました。当時の事務所では、主体的に問題を解決するのはなく、非常に受身のスタイルで仕事を進めていました」

こうした中、秦はある問題意識を持つようになる。「本当にクライアント本位の仕事を実現するには、会計だけの知識ではダメ。会計から法務、税務、投資などのあらゆる知識を持ち、全方位で問題解決を図っていかなければならない」と考えるようになった。

秦は仕事を終えると、毎日自宅でPCを通じ、ほかの会計士事務所やコンサルタント会社がどう仕事をしているのかを調べ、自分の考え方を実現している企業がないかを探した。

07年、勤続10年を目前に秦は、香港梁学濂会計事務所上海支店に転職する。「国有企業を中心に仕事をしてきたので、海外企業や海外でのIPOの仕事をしてみたいと考え、友人の紹介で、グローバルで幅広く展開する香港梁学濂会計事務所に移りました」

秦は同事務所で、外資系企業の中国への投資と、中国企業の海外での上場に関わる仕事を担当した。

「非常に重要な経験を積みました。仕事の舞台が海外に広がり、いっぺんに窓が開かれた思いでした。すごくエキサイティングな経験でした。外資系企業の中国投資とビジネス構築をバックアップすると同時に、多くの中国企業の海外上場にも関与しました」

ここで秦は、欧米企業と中国企業の考え方の違いを知った。中国企業は法律や政策に従うのみだが、欧米企業は法律を大胆に解釈したり、あるいは当局とかけあい、政策そのものの変更を求めたりした。

「欧米企業は、非常に合理的な意見を主張します。合理的な判断で、問題解決を図っていきます。一方、国内企業は法律を守るという選択肢しかありません。ダイナミックにビジネスを展開する欧米企業の文化をここで学ぶことができました」

一方、秦は多くの中国企業が”走出去”(海外進出)を果たす手伝いを行った。中国企業が世界に積極的に打って出て、成功する姿を目の当たりにし、秦は少なからず愛国心を刺激され、感銘を受けたという。

同事務所では、英語で仕事をした。

「転職の理由のひとつに英語を使って仕事をしたいという希望がありました。大学卒業後、英語はまったくご無沙汰だったため、最初はすごく大変でした。専門用語に慣れるため、英語の専門書をたくさん読みました」

日本語を習得し”全方位の会計士”を目指す

秦小鎖 中国会計士インタビュー

08年、秦はキャストコンサルティングに籍を移す。

「香港梁学濂会計事務所の仕事は非常にやりがいがあり、離れがたかったのですが、それ以上にキャストは魅力的でした」

03年、秦はキャストのメンバーと仕事をしたことがある。会計士の永田など、キャストのメンバーの印象は非常に良かったという。そして、なによりも『法律から税務、会計、コンサルティングまでワンストップで提供する』というキャストのビジネスモデルに惹かれた。

「キャストのビジネスモデルは、すごく魅力的だと思っていました。03年当時は、まだそれほど意識していませんでしたが、その後、『会計だけでなく、あらゆる方面からアドバイスできなければ最高の顧客満足は実現できない』と考えるようになり、キャストの凄さを知るようになったのです。こうしたモデルを実現している企業は世界でも稀です」

キャストに移ればもっと大きなチャンスがある――秦はキャストへの転職を決意した。

08年からのキャストでの仕事を振り返り、秦は次のように語る。

「非常に忙しいです。日系企業のお客様は中国企業や欧米企業に比べ、要求が非常に細かく、細心の注意を払って仕事を進めないといけません。キャストのメンバーはみんな、とにかく一生懸命働き、努力しています。これも日系企業の大きな特色のひとつでしょう。私もみんなの影響を受け、猛烈に働くようになりました(笑)。仕事は会計から税務、財務まであらゆる分野に渡ります。会計に囚われず、バランスの良い発展を目指す私には最高の舞台です」

関税や財務関連などで、キャストに入社し秦が初めて経験した仕事は少なくない。現在、関心を持っているのがIFRSだ。

「中国、日本ともIFRSに向かっており、日本の上場企業はこの準備に忙しいです。日系上場企業の関心は高く、われわれも常に最新の情報を中国の現地法人への情報できるようにしています」

秦は、会計がキャストにとって今後、ますます重要になると考えている。

「現在のキャストの重点は法律と税務、それからデューデリジェンス(事前調査)などです。しかし、今後はIFRSなどもあり、会計に重点が移ってくると見ています。その時に大いに力を発揮できるよう、もっともっと実力をつけたいです」

昨秋より、秦は1年間の予定で、税理士法人キャスト大阪事務所に出向している。主な目的は、日本語の習得だ。

「日系企業のお客様と完璧にコミュニケーションするには、やはり通訳は介さず、日本語でやり取りするのがベストです。そう考え会社に相談したところ、大阪への出向を認めてくれました。また1からの勉強でプレッシャーも大きいですが、会社の期待に応えるためにもがんばります」

大阪では、専門学校での日本語学習と税理士法人キャストでの仕事が待っている。妻と2歳の長女を置いて単身赴任となるが、「いまはE-mailもあるし、ケータイですぐに連絡できます。多少は寂しさを感じるでしょうが、早く日本語を習得し、上海に戻って活躍したいです」と生き生きとした表情で語る。

日本語を身につけた秦が、「最高の舞台」でさらなる飛躍を遂げ、キャストの会計部隊を引っ張っていく姿が見られる日はそう遠くないだろう。

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