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多士済々のキャストで異彩を放つ国際派
中国事業戦略コンサルタントの旗手として活躍

2010.01.03

大亀浩介 コンサルタントインタビュー

キャストコンサルティング取締役兼キャストコンサルティング(上海)董事の大亀浩介キャストコンサルティング取締役兼キャストコンサルティング(上海)董事の大亀浩介は、10代から20代にかけて、米国、台湾を渡り歩いた国際派だ。多士済々の弁護士、会計士、税理士が所属するキャストグループで、「中国事業戦略コンサルタント」という独自のポジションで活躍し、異彩を放つ。近年は、自らの中国EC(電子商取引)事業の経験をもとに著書『中国ネットビジネス 成功へのポイント』を上梓し、日本や中国でセミナー講師として引っ張りだこだ。日本企業の関心が一斉に「中国内販」に向う中、中国歴12年の若き中国事業戦略コンサルタントの旗手は、新たな挑戦に挑もうとしている。

10代で米国に傾倒、台湾で日本を見直す

大亀浩介 コンサルタントインタビュー

広島市の高校に通っていた大亀浩介は高校1年の夏休み、親戚が住む米国ロサンゼルスを訪れる。多人種・多民族が共存する大国にカルチャーショックを覚え、大いに感化された大亀は、帰国後、米国の大学への進学を目指し英語の猛勉強を始めた。

その1年後、今度は地元の国際社会奉仕団体の催しで、台湾南部の台南に3週間、ホームステイする。「地元の高校生と拙い英語で交流しました。アメリカでは小さな島国の日本に引け目すら感じたのですが、日本を評価する台湾の人たちとの交流の中で、逆に日本の良さ、素晴らしさを発見しました。当時経済が急成長し工業化が進んでいた台湾で、より良い生活を求めてひた向きに生きる台湾の人たちの姿にも惹かれました」と大亀は語る。

大学3年の夏休み、オレゴン州の州都、ポートランドのサマースクールに参加するため、再び米国の地を踏んだ。そこである米国人学生と出会い、大学卒業後の進路を決める。

「日本に行ったことがある30歳の男性で、サマースクールを終えたらロースクールに通い、弁護士を目指すと言っていました。それまで大学を終えたら就職するものだと当たり前に考えていた私は、いろいろな生き方があることを教えられ、アメリカの大学院に進むことを決めました」(大亀)

96年、早稲田大学を卒業すると、米国ニューヨーク州シラキュース大学国際関係学修士課程に入学した。大学院での勉強はとにかくハード。毎日膨大な資料を読むことが課せられ、試験は筆記が中心だった。英語がネイティブでない大亀は、米国人学生以上の努力が求められた。

「大学院の2年間で、英語にかなり自信がつきました。キャンパスライフはとても楽しかったです。アメリカ人の白人とヒスパニック系の2人のルームメートと1年間共に過ごすことで英語力だけでなく、彼らのメンタリティや価値観などが身に付きました。また毎週のようにクラスメートが集まり、ホームパーティーを開いて世界中の人たちとの交流ができました」

一方で、大亀は英語がネイティブでないマイノリティ(少数派)の日本人が、アメリカ社会でメインストリーム(主流)になるのは難しいという限界も感じていた。アメリカに残るか、日本へ戻るか――悩む大亀の前に再び現れたカードが「台湾」だった。

台湾でIT業務に従事

大亀浩介 コンサルタントインタビュー

大亀は、大学院1年が終わった夏休み期間を利用してインターンシップでワシントンDCにある中国関連のシンクタンクで働き始めた。

「そのシンクタンクは台北政治大学が出資しており、まったくの台湾社会でした。大学院を卒業した後の進路に悩んでいたある日、シンクタンクに出入りする台湾政府関係者から台湾で中国語を勉強することを勧められました。当時は中国経済がグッと伸び始めたころで、日本語、英語に加え中国語をマスターしたら新しいチャンスが生まれるかもしれないと考えました。高校時代に訪れたことがある台湾に何か運命的なものを感じました」

キャストコンサルティング取締役兼キャストコンサルティング(上海)董事の大亀浩介 98年、シラキュース大学大学院を卒業した大亀は台湾に渡る。台北師範大学で3カ月中国語を学んだ後、地元企業の三寛陽有限公司に入社。コンピュータ(PC)販売からPCの組み立て・修理、ネットワーク(LAN)構築、アフターサービスの仕事を経験する。99年には日系の台湾北輪有限公司に転職し、多言語ウェブサイト制作サービス「クリエイティブGIGA」を立ち上げる。

「台湾北輪有限公司の社長は、以前からウェブに関心を持っておられ、私と意気投合し新規事業を立ち上げることになりました。台湾の日系企業を対象にしたサービスで、事業は順調に拡大しました。私は同社で社長の薫陶を受けながら、HTMLの書き方からウェブデザイン、プログラミング、ウェブサーバの構築管理まで、ウェブ絡みのことを一通り勉強しました」

台湾に渡ってから6年目の2004年、30歳を目前に大亀は葛藤していた。仕事も生活も安定していた。しかし、何かが欠けている――そんなモヤモヤした感情を抱えたまま大亀はふらりと米国旅行に出かける。

「台湾は日本と同じように小ぢんまりした居心地のいい場所でした。そんな環境に慣れきったまま久しぶりに訪れたアメリカで、広漠とした大地や多種多様な人種が入り乱れる街に恐怖感を覚えました。以前はまったくそんなことはありませんでした。これではいけない、狭い世界に安住していたらダメだ、もっと大きな気持ちを持たなければと強く思いました」

米国から戻った大亀は台湾を離れることを決心。まだ経験したことがない日本での就職のラストチャンスと、04年初夏に日本に戻り、友人宅に居候しながら就職活動を開始する。希望したのは中国関係の仕事。ところが、就職活動は難航する。特異な経歴や30歳という年齢が災いしたのだろうか。遅々として進まない就職活動に当初は焦ったが、お盆を過ぎたころには、「気に入った仕事が見つかるまでじっくり探そう」とすっかり気持ちは落ち着いていた。そんなある日、ヘッドハンティング会社から弁護士法人キャストを紹介され、面接に出向いた。

「いきなり村尾とのトップ面接でした。世の中にはこんなひとがいるんだな、というのが正直な感想です。理路整然としたロジックで畳み掛けるように話す村尾に圧倒されました。こうしたひとがどのように仕事をするのか、興味を持ちました。当時もキャストは日系企業の中国ビジネスを最前線で引っ張る存在で、キャストで働けばたくさんのことが学べると思いました」

『キャスト中国ビジネス』を立ち上げる

大亀浩介 コンサルタントインタビュー

04年10月、大亀は弁護士法人キャストに入所。当初は村尾の「同行秘書」として村尾と共に東京、大阪、上海を中心に日本と中国の多くの都市を毎日のように飛び回りながら、日中ビジネスだけでなく経営者としての思想や行動などの英才教育がはじまった。05年4月に、キャストコンサルティングに異動し、会員制ネットサービスサイト『キャスト中国ビジネス』(http://www.cast-china.biz)を立ち上げる。

「同行秘書という”訓練”を終えた私は、村尾から新規事業の立ち上げを託されました。『キャスト中国ビジネス』は会員費月3万円、法令データベースが見放題で、Q&Aサービスが受けられます。当サイトはその後、キャストグループの広告塔となり、中国ビジネスに関心を持つビジネスパーソンが最新の情報を集めるソースサイトとして、重要な役割を果たすようになりました」

『中国ネットビジネス 成功へのポイント』(日本経済新聞出版社、08年12月発売) 『キャスト中国ビジネス』事業を軌道に乗せた大亀は、次に台湾と上海で日本の化粧品やダイエット食品を扱うネット通販(EC)事業を開始する。

無論、このような状況の変化は、中国法務を得意とする従来型の渉外法律事務所にとっては、死活問題になりかねない。しかし、村尾氏が代表を務める弁護士法人キャストは、変化する市場ニーズを読み解き、すでに新たな潮流に乗り始めている。

「ネットビジネス」、「EC」の次の新規事業として、大亀が挑んだのが人材関連業務だ。

「キャストの強みを発揮することができる事業分野として人材関連業務が重要だと考え、06年に人材仲介企業に出資し人材紹介業へ参入、これに続き07年には誠友人材諮詢と提携し人材派遣業に参入しました。10年からはこの会社を利用して外資系企業のスタッフに専門知識を身に付けさせる研修事業に力を入れていきます。」

会員制コンテンツビジネス、EC(ネット通販)、人材紹介、人材派遣、さらに深センに中国内販を目的とした貿易会社(08年、09年と利益を順調に伸ばし、10年には一層の飛躍が期待される。)を設立――キャストコンサルティングは08年まで、コンサルティング会社でありながら、複数の事業を自ら展開するユニークな会社としての路を歩んだ。これらすべての事業の中心人物として重責を担った大亀は、「ただの理論やデータのみに頼るコンサルティグサービスではなく、自分たちで投資し実務を経験した上でのコンサルティングサービスがキャストの大きな強みです。中国で飲食業と製造業以外のあらゆるビジネスを経験しているコンサルティング会社はわれわれだけではないでしょうか」と説明する。

中国ネットビジネスの専門家に

大亀浩介 コンサルタントインタビュー

日本企業の中国のネットビジネスへの関心が高まるなか、大亀は07年半ばから毎月のように日中で開かれる関連セミナーで講師を務めてきた。これまでのセミナー講師の経験は20回に及ぶ。前述のように08年末には、『中国ネットビジネス 成功へのポイント』を上梓。その後も日本企業の中国ネットビジネスへの関心は高まるばかりだ。こうしたなか、大亀は前述の経験とノウハウを駆使し、ネットビジネス、EC関係のコンサルティングサービスを本格化させている。

キャストコンサルティング取締役兼キャストコンサルティング(上海)董事の大亀浩介 「今後、日本経済の大きな成長が期待できないなか、ここ数年、日本の企業の中国ネットビジネスへの関心が高まってきています。これまでは「関心」のレベルに留まっていましたが、09年後半からは多くの日系企業のプロジェクトが実際に動き出しています。今年はもっとたくさんの日系企業がネットビジネスに参入すると見ています。もっとも、中国におけるネットビジネスは各種規制があり容易ではありません。しかしそれよりももっと重要なことはいかにブランディングし、集客して購入してもらうかです。従来の広告のみに頼るモデルでは難しいというのが私見です。日本ではCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)システムを駆使しながら、いかに顧客リストを構築し、それを活用しプロモーションするかが常識ですが、中国では特に低所得のネットユーザーが主流で、購買層が限定されることからも、日本以上にCRMの活用を真剣に考える必要があるのです」

さらに、新体制には、大江橋法律事務所から独立後10年間の反省を踏まえ、「同じリスクを共有できる仲間を増やしたい」という想いもあると言う。

中国ネットビジネスの専門家でありながら、ネットは企業にとってのマーケティングやプロモーションの1ツールにしかすぎない。やはり一番大事なことはターゲットとするマーケットやユーザー層がどういう状況かを調査、分析し、それに基づいてどう仮説、戦略を立てて実行するかだと大亀は主張する。

「企業のブランディングやマーケティングをどうするかという全体の枠組みのなかで、ネットをどう活用していくかという視点が大事だとクライアントには伝えています。これまで私はキャストで、製造業と飲食業以外のほぼすべての中国ビジネスを立ち上げ、経験してきたと自負しています。さらに、それら事業に関係する中国の法務、会計・税務、人事・労務などの注意すべきポイントも認識しています。いまの私の使命は、ネットビジネスとマーケティング分野に軸を置きながらも、これまで培った経験とノウハウをベースに、日系企業の中国ビジネス展開をジェネラルな立場でサポートする事業戦略コンサルタントとしてお役に立つことです」

唯一無二の中国事業戦略コンサルタント

大亀浩介 コンサルタントインタビュー

大亀は、中国市場はマーケティングの観点から見ると無限の可能性を秘めているという。

 「中国沿岸部は現在、”ハード”から”ソフト”中心の発展に移行しつつある。つまりサービスや素材にこだわりを持つ消費者が増えてくるということです。今後5年から10年で、沿岸部の大都市ではソフトが発展していきます。そうなったとき、ソフトを強みにする日系企業に大きなビジネスチャンスが巡ってきます。一方で、内陸部の発展も見逃せません。08、09年と重慶、成都、武漢、煙台、貴陽、遵義、包頭(内モンゴル)など、内陸部の都市に足を運びましたが、その発展振りに驚かされました。内陸部は現在、まさにハードが発展しているところですが、近い将来にはソフトの発展へ移行するでしょう。今後、沿岸部と内陸部の各都市で、ハードとソフトの発展が有機的に同時進行すると、凄まじく複雑な構造をもつ経済発展が形成され、10~20年の長期にわたり巨大な商機が生まれると確信しています」

こうしたなか、キャストは今後も中国市場における日系企業の”水先案内役”を求められると見る。

「キャストは、法務、会計・税務のサービスをワンストップで提供でき、さらにネットビジネスからマーケティング、貿易、人材まで広範な分野の専門家が所属しています。単なるものづくりのための企業及び工場運営から、マーケットを理解し、いかに売っていくかの命題が課せられた日系企業にとって、今後はますますマーケティング視点からの中国事業戦略が重要になってきます。無限大の可能性を秘めた中国マーケットの水先案内役としてキャストの総合コンサルティングはますますプレゼンスを高めていくでしょう」

国際経験が豊富で、日中英3カ国語を自在に操り、中国でのネットビジネスからマーケティング、貿易、人材事業の経験を持ち、法務、会計・税務にも精通する――大亀のような存在は稀だ。こうしたジェネラルな中国事業戦略コンサルタントは唯一無二ではないだろうか。日系企業の「中国シフト」が進んでいくなか、中国事業戦略コンサルタントの旗手としての大亀が活躍できるフィールドはまだまだ広がっていくだろう。「いまこの中国にいられる境遇に感謝しています」と話す大亀の新たな挑戦は始まったばかりだ。

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